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ヒト神経細胞のDNA メチル化状態に個人差があることを解明
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2011/5/1
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―精神疾患におけるエピジェネティクスの役割解明へ第一歩―
神経細胞におけるDNA メチル化状態は、脳機能に関わる遺伝子の働きと密接に関連しています。また、ストレスなどの環境要因の作用を受けることから、統合失調症や気分障害といった、遺伝子と環境要因の相互作用により発症する精神疾患の病態に深く関係していると考えられています。しかし、脳は、神経細胞の他に多種多様な細胞が混在しており、神経細胞のDNA メチル化状態のみを解析するのは非常に困難でした。
東京大学大学院医学系研究科分子精神医学講座(特任准教授 岩本和也、特任助教 文東美紀)と理化学研究所脳科学総合研究センター(チームリーダー 加藤忠史)の研究グループは、札幌医科大学、カリフォルニア大学との共同研究により、微量のヒト脳試料から神経細胞だけを分離し、DNA メチル化状態の詳細な解析を行うことに成功しました。
その結果、神経細胞では非神経系細胞と比べてDNA メチル化状態が大きく異なり、また、より大きな個人差が認められることを明らかにしました。神経細胞におけるDNA メチル化の個人差の意義は明らかではありませんが、環境要因が作用した結果である可能性が考えられます。本研究により、DNA メチル化が精神疾患の原因に関与するかどうかについて、精神疾患患者脳試料を用いた研究の道が初めて開かれたこ
とから、今後精神疾患解明につながると期待されます。
なお、本成果は米科学GenomeResearch 誌5月号に掲載されます。
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20110501.pdf
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/release_archives/20110501.html
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ES細胞から神経細胞へ分化開始させるスイッチ因子を解明
−高選択性で神経細胞を産生させる基盤を確立、脳疾患の応用などに期待−
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2011/2/17
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私たちの体を構成するさまざまな細胞に分化する能力を持つES細胞やiPS細胞は、多能性幹細胞として再生医療などを実現すると世界中で注目されています。しかし、血液や増殖因子などを含む通常の培養液で培養すると多種類の細胞が混在して分化してしまうため、医療などに必要な一種類の細胞を限定して分化させる培養法などを特別に工夫することが必要となっています。発生・再生科学総合研究センター器官発生研究グループらは、細胞に刺激を与える物質を除いて培養すると、ES細胞・ iPS細胞が自発的に神経前駆細胞や神経細胞に効率よく神経分化することを明らかにしてきましたが、そのメカニズムは不明のままでした。
研究グループは、網羅的なゲノム・スクリーニングを行い、この培養液を用いたときにだけES細胞内で強く働くZfp521という核内タンパク質を同定し、このタンパク質の働きで、ES細胞が神経前駆細胞へ分化することを初めて明らかにしました。さらに、血液や増殖因子などが、Zfp521タンパク質の発現を抑えて神経分化を低下させることや、たとえ血液や増殖因子などが存在してもZfp521タンパク質さえを発現させれば神経分化が効率良く進むことを発見しました。また、Zfp521遺伝子の機能を阻害したES細胞の場合、試験管内でも、マウスの胎児の中でも脳の神経細胞を産生できないことを証明しました。同時に、 Zfp521タンパク質が脳・神経細胞への分化スイッチを特異的にオンにする役割を果たしていることが判明しました。
この結果、謎であったES細胞・ iPS細胞からの神経分化の開始機序が分かり、脳疾患の再生医療への応用に必至な神経細胞の選択的産生技術やそれに伴う安全性の向上に貢献すると期待されます。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2011/110217/detail.html
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2011/110217/index.html
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神経幹細胞が脳室側だけで細胞分裂する仕組みを解明
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(
2011/1/27
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−神経幹細胞の分化と細胞極性維持の協調的制御が増殖位置を決定−
◇ポイント◇
神経幹細胞の増殖の仕組みを、ゼブラフィッシュで分子遺伝学的に解析
神経幹細胞の分化と細胞極性の維持を協調的に制御する機構を発見
神経発生機構や脳の進化の理解に重要な手がかりを得る
独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、モデル動物のゼブラフィッシュ※1を用いて、脳を構成するさまざまな細胞に分化する「神経幹細胞※2」が、未分化性と細胞極性※3の協調的な維持によって、脳の内側(脳室側)だけで増殖する仕組みを解明することに初めて成功しました。理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)発生遺伝子制御研究チームの岡本仁チームリーダー、大畑慎也研究員と国立大学法人東京大学(濱田純一総長)総合文化研究科及び農学生命科学研究科、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構(シドニー・ブレナー理事長)との共同研究による研究成果です。
神経幹細胞は、細胞周期に応じて脳の内側(脳室側)から外側(脳膜側)までエレベーターのように細胞核を移動させ、核が脳室側に存在する時にだけ細胞分裂を行い、増殖します。しかし、どのような分子機構で脳室側でだけ細胞分裂をするのかは不明のままで、神経発生学上の中心的課題として残されていました。
研究チームは、脊椎動物の中で最も単純な脳を持つゼブラフィッシュを用い、神経幹細胞の細胞極性を維持するために必須な因子(細胞極性制御因子)の機能を失った突然変異体を単離・解析しました。この変異体では、神経幹細胞が「中間神経前駆細胞※4」へと分化し、より脳膜側で細胞分裂を行っていました。この結果から、細胞極性制御因子が、神経幹細胞の分化と細胞極性維持の両方を協調的に制御することで、神経幹細胞の細胞分裂の場所を脳室側に限定していることが分かりました。
今回の成果は、細胞極性制御因子による精巧な神経系形成の分子機構を解明した世界初の発見となりました。今後さらにこの研究を進めることによって、神経幹細胞の増殖の全体像が明らかになることが期待できます。
本研究成果は、米国の科学雑誌『Neuron』(1月27日号)に掲載されます。成果の一部は科学研究費補助金とJST 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「生物の発生・分化・再生」研究領域における研究課題「Genetic dissectionによる神経回路網形成機構の解析」(研究代表者:岡本仁)によって得られました。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2011/110127_2/index.html
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脳神経細胞の電気信号を読みとく新たな蛍光タンパク質
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(
2010/12/25
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新たな蛍光タンパク質の発見により、海馬の複雑な神経回路網の謎に光が当てられました。理化学研究所脳科学総合研究センター回路機能メカニズムコア神経回路ダイナミクス研究チームのKNOEPFEL THOMASチームリーダーらによって開発されたこのタンパク質「red-shifted VSFPs」は、神経細胞の集まりから発せられる高速の電気信号の解析に役立ち、神経回路網における神経細胞間ダイナミクスの観察が可能になります。今後、脳機能の研究がさらに推進されると期待されます。
神経回路網ダイナミクスを解析するための重要な課題の1つは、いくつもの神経細胞の活動を同時に観察することです。膜電位感受性蛍光タンパク質(VSFP)は、遺伝子レベルで電位センサーをコントロールし、非侵襲的に特定の細胞集団活動を可視化することができます。しかし、これまで、VSFPによる可視化には、長時間にわたって神経細胞で発現できないといった問題や、組織が持つ自家蛍光に邪魔されるといった問題がありました。
今回、研究チームによって新たに造られたred-shifted VSFPは、発光する波長を赤波長へシフトさせることで、これらの問題を解決しました。電位感受性ホスファターゼ(Ci-VSP)の電位感受性領域と、赤波長へシフトさせた蛍光タンパク質を融合させることで、これまでとは異なる色を発するVSFPを造り出したのです。『Journal of Chemistry & Biology』誌への報告によると、研究チームは、このタンパク質を用いてCi-VSPの電位感受性メカニズムを新たに解明し、さらには海馬神経細胞における電気信号を解析するための改良型(VSFP3.1_mOrange2)の有効性も実証しました。
神経回路網にある細胞レベルでの活動をVSFPで観察できれば、脳内の情報処理過程における理解はさらに深まります。現在のVSFPのメカニズムをさらに研究し改良すれば、蛍光波長を赤波長にシフトさせたこの新たなタンパク質は、脳機能を理解するための革新的な進歩をもたらすでしょう。
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2009/091225/index.html
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小型霊長類コモンマーモセットの無麻酔下PET実験
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(
2010/12/25
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イメージング科学研究センター分子プローブ機能評価研究チーム(尾上浩隆チームリーダー)らは、小型霊長類コモンマーモセットの無麻酔下PET実験技法を世界に先駆けて確立し、同種の脳内セロトニントランスポーター
の生体分布を明らかにしました。
脳機能を生きたまま長期にわたってモニターできるPETの技術は、遺伝子情報と行動発現を仲介する神経化学的な脳内分子動態を明らかにしてきました(図1)。近年、技術の発達によって動物PETが可能になりました。動物実験は、ヒト研究ではできない様々な実験的介入が可能であり、その結果はヒト行動を支える機構を理解するために重要です。横山ちひろ研究員(機能評価研究チーム)らが用いたのは、コモンマーモセットという小型の霊長類です(図2)。コモンマーモセットは繁殖効率が高く遺伝子改変が可能な霊長類として注目されています。また、ヒトと類似する高い社会性を示し、社会行動研究におけるモデル動物として優れています。覚醒下で行うマーモセットPET実験システムは我々の研究室が世界で初めて開発し、これにより麻酔薬の影響のない状態で脳内セロトニントランスポーターの結合活性分布を捉えることに成功しました
http://www.cmis.riken.jp/image/index/seika_yokoyama.pdf
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過去の経験が新たな状況下において意識下の行動に影響を与えることを発見
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(
2010/12/24
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―場所細胞の発火パターンは時間的に未来に起きる状況を「前」再生している―
RIKEN-MITセンター及びPicower 研究所の研究者達は、世界で初めて、過去の経験を通じて得た知識が新たな状況下においてどのように行動に意識下で影響を与えるかを明らかにしました。我々の過去の経験がどう未来の選択に情報を与えるかという問いに光を投げかけたこの研究は、出版に先立ちNature 2010年12月22日号のオンライン版に掲載されました。
先行研究では、げっ歯類が新しい場所を探索すると、学習と記憶の場である海馬の神経細胞が順に発火するということが分かっていました。場所細胞と呼ばれるこれらの神経細胞は、空間内での動物の動きを反映した特別な発火パターンを示します。発火する神経細胞から記録された時間特異的なパターンを見て、研究者はある時間に動物が迷路のどこを走っていたのかを当てることが出来ます。
RIKEN-MITセンターのジョージ・ドラゴイ博士研究員と利根川 進 同センター長兼picower研究所教授らは、初体験の迷路のような空間的に新しい経験をしている間に発火する神経細胞の発火パターンの一部がその経験の前に既に観察されるということを見つけました。この結果は、元々我々が持っている経験が、状況が新しくなったときに経験することに影響するという現象を神経回路レベルで説明します。これは、同じ状況に陥った時に、なぜ個体ごとに異なる脳内表現が形成されてなぜ同じように反応しないのかという問いに部分的に答えを与えるものです。
一歩先を考える
マウスが迷路の中で止まってじっとしているとき、脳内では直前の経験が再生(replay)されていると言われています。このとき神経細胞も走っているときと同じパターンで発火します。脳内再生の場合と違って、新しい迷路を走る前に起きる現象であるため、今回MITの研究者らが見つけた現象は前再生(preplay)と呼ばれています。本研究の結果から、じっとしているときに海馬内で神経回路が時間軸に沿った発火パターンになるように動的に変化して、将来起きる関連した経験を記銘する手助けになっているということが示唆されました。
今までの研究は新しい出来事や空間そして状況といったものの前に起きている先行知識の脳内神経表現をよく見てはきませんでした。今回の研究は、新しいけれどもよく似た経験に対して事前の知識へ個別にアクセスすればどういう応答が起きるかを予想する研究への手掛かりになります。
本研究はアメリカ国立衛生研究所(NIH)の支援により行われました。
http://www.brain.riken.jp/jp/news/2010/20101224.html
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細胞のストレス応答機構の分子メカニズムが明らかに
−ストレスによるIP3受容体の機能破壊が、神経細胞死による脳障害を引き起こす−
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(
2010/12/9
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体調不良、心の病、自殺など、過度のストレスが引き起こす現代の疾患は増加傾向にあり、社会問題となっています。私たちが健康的な生活を過ごすためには、ストレスを軽減して、ストレスと上手に付き合っていく必要があります。私たちの体を構成している細胞もまた、常にストレスにさらされており、過剰なストレスは、細胞が備えているストレス応答機能を破壊し、自らが死を選択する細胞死(アポトーシス)を引き起こします。神経細胞がストレスにさらされると、細胞死によって脳機能が低下し、さまざまな神経疾患を引き起こすと考えられています。
脳科学総合研究センターの発生神経生物研究チームらは、細胞内のカルシウム濃度を調節するIP3受容体(IP3R)が小胞体ストレスによって破壊され、神経細胞死を誘導することを世界で初めて発見しました。IP3Rは4量体を形成することでカルシウム放出チャネルとして機能するタンパク質で、 3種類のサブタイプが存在します。中でも、1型IP3受容体(IP3R1)は脳で高い発現を示し、その機能を遺伝的に喪失したマウスが運動機能障害を引き起こすことが知られています。研究チームは、分子シャペロンとして知られるタンパク質GRP78が、IP3R1の4量体形成を制御していることを突き止め、小胞体ストレスでGRP78 とIP3R1の結合が弱まると、IP3R1の4量体形成が阻害され、カルシウム放出活性が顕著に低下することを明らかにしました。このIP3R1の機能破壊が神経細胞死を誘導し、脳障害を引き起こすことから、IP3R1がストレスから脳を守る働きを担うことが分かりました。この発見は、IP3Rが細胞死を誘導するという従来の定説を覆し、ストレスによる神経変性疾患の発症メカニズムの解明や、神経変性疾患の発症予防などの治療に貢献すると期待できます。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2010/101209/detail.html
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2010/101209/index.html
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「小脳変性に関与する分子メカニズムを解明」
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(
2010/6/9
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(神経変性疾患の治療開発につながることが期待)
JST 課題解決型基礎研究の一環として、東京医科歯科大学 難治疾患研究所の岡澤 均 教授らは、神経細胞保護的グリア細胞である「バーグマングリア注1)」の増殖に関与する新規分子「MAXER(マクセル)」を発見し、MAXERの減少が、小脳の主要な出力ニューロンであるプルキンエ細胞を保護する役割のバーグマングリアを介して、神経変性病態に関わる分子メカニズムを明らかにしました。
近年、神経細胞の変性にグリア細胞が関わることが注目されていますが、その詳細な分子メカニズムについて明らかになっていませんでした。
本研究グループは今回、脊髄小脳失調症注2)1型(SCA1)の小脳細胞で発現変化を示す分子の網羅的検索から、小脳細胞においてのみ遺伝子発現が低下し、ハンチントン病などの別の変性疾患では発現が変化しない新規分子MAXERを発見しました。解析の結果、MAXERは進化的に保存されている小胞体注3)膜分子であること、またMAXERが減少すると細胞周期がG1期に停滞すること、さらにMAXERが細胞質・核の間を行き来するサイクリンD1の抑制因子であるCDK5RAP3の局在制御を行い、これによって細胞周期を制御することが明らかになりました。同時に、SCA1におけるMAXERの減少がバーグマングリアの減少を招き、結果として神経細胞に対してグルタミン酸毒性が増加して神経細胞変性に関わることを示しました。
この成果は今後、バーグマングリア再活性化を介した神経変性疾患の治療開発につながるものと期待されます。
本研究は、東京医科歯科大学 大学院生(当時)の塩飽 裕紀 氏と共同で行われ、米国・ベイラー医科大学のゾービィ教授の協力を得ました。
本研究成果は、2010年6月8日(英国時間)に欧州分子生物学機構(EMBL)の科学誌「EMBO JOURNAL」のオンライン速報版で公開されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20100608/
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生体内でのニューロン新生の制御機構の一端を解明
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(
2010/5/7
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-Eph/ephrin シグナルが海馬ニューロン新生と微小血管形成に関わる-
東北大学大学院医学系研究科の大隅典子教授の研究グループは、軸索の伸長などに関わるEphrin-A5 (エフリンA5)*1という分子の遺伝子を欠損した成体マウスにおいて、海馬歯状回におけるニューロン新生が有意に低下していることを発見、生体内でのニューロン新生の制御の一端の解明に成功しました。
かつて大人になってからは増えないと信じられてきた脳の神経細胞(ニューロン)は、ほ乳類の成体脳でも、脳室下帯や海馬歯状回など一部の場所で活発に新生されていることが明らかになっています。特に海馬歯状回でのニューロン新生は記憶や学習行動に関係していること、またニューロン新生の異常と行動異常に相関があることが明らかとなっており、その制御機構の解明が待たれています。
今回、研究グループは、細胞外膜分子の一つであるEphrin-A5 に着目し、Ephrin-A5 遺伝子を欠損した成体マウス(Ephrin-A5-/- マウス)の海馬歯状回におけるニューロン新生を解析し、ニューロン新生が減少していることを明らかにしました。Ephrin-A5 は血管のサイズを調節することによってニューロン新生を制御していることが示唆されています。
本研究成果は、米国科学誌STEM CELLS のウェブ版に先行公開され、間もなく5 月号の表紙を飾ります。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohoku_univ_pressrelease_20100506.pdf
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2010/05/press20100507-01.html
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雄にしかない筋肉をつくりだす脳の中の仕組みを発見
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(
2010/4/16
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ショウジョウバエの雄にしかない筋肉、ローレンス筋があります。今回、東北大学大学院の野島鉄哉(博士研究員:研究当時、大学院生)と山元大輔教授らのグループは北海道教育大学の木村賢一教授との共同研究により、この筋肉を動かすことができ、また、つくるのに必須な単一の運動ニューロンをみつけ、その形成過程を明らかにしました。
ローレンス筋は、ショウジョウバエの成虫の雄の腹部第5節(A5)にしかありません。ローレンス筋ができるかどうかは、その筋肉を動かすことのできる脳のニューロンが雄であること、そしてそのためには、 フルートレス(Fruitless)たんぱく質の存在が必須であることが、これまでにわかっていました。しかし、肝心のニューロンそのものがどれかはわかっていませんでした。今回、fruitless が働かなくなった変異体の雄でローレンス筋がなくなっているところに、MARCM 法を使って少数のニューロンにだけfruitless+を発現させ、ローレンス筋形成が回復した時にどのニューロンにfruitless+が発現していたかを特定する方法で、ローレンス筋を作り出す単一運動ニューロンを同定しました。さらに、なぜ雄にしかないのか、なぜA5 にしかできないのかについて、その機構の一端を解明しました。
本研究成果は、英国の科学雑誌『カレント・バイオロジー』 (Current Biology)に近く掲載されます。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/press2010041601.pdf
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2010/04/press20100416-01.html
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シュワン細胞のSOD1酵素活性低下が筋萎縮性側索硬化症(ALS)を加速
- シュワン細胞の正常化でALSの治療に新たな可能性 -
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2009/3/5
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◇ポイント◇
遺伝型ALSの新しいモデルマウスを用いてALS病態の進行メカニズムを解明
シュワン細胞での活性酸素除去が、ALSの進行を遅らせる
シュワン細胞が神経栄養因子IGF-1の産生で運動神経を保護
独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)と独立行政法人科学技術振興機構(JST: 北澤宏一理事長)は、神経変性疾患の一つで、全身の運動麻痺を起こす神経難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスを用い、運動神経の軸索※1を取り囲むグリア細胞のシュワン細胞※1が病気進行に関与することを発見しました。理研脳科学総合研究センター(田中啓治センター長代行)山中研究ユニットの山中宏二ユニットリーダーらと、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校、仏・国立保健医学研究所(INSERM)などの国際共同研究による成果です。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、全身の筋肉を支配する大脳と脊髄にある運動神経細胞が徐々に死んでいく原因不明の神経難病です。発症すると、認知や思考の能力が保たれたまま、全身の筋肉の麻痺が進行し、寝たきりとなります。通常は、発症から2年ないし5年で、呼吸をつかさどる筋肉が麻痺し、人工呼吸器なしでは生存できなくなる重篤な疾患です。
研究グループはこれまでに、ヒトの遺伝型ALSで発見されたSOD1遺伝子※2の変異を、特定の細胞群から除去できるモデルマウスを開発し、ALSに関与する細胞群の働きを検討してきました。今回、このモデルマウスを用い、シュワン細胞から酵素SOD1の活性酸素を除去する活性が保たれた活性型変異SOD1を取り除くと、ALSの進行が顕著に加速することを発見しました。また、シュワン細胞は、神経栄養因子であるIGF-1 (Insulin-like Growth Factor 1:インスリン様成長因子)※3を産生しており、この産生が活性型変異SOD1の発現に依存していることを突き止めました。つまり、シュワン細胞では、SOD1の酵素活性が保たれていることが運動神経の保護に重要で、神経栄養因子IGF-1の産生とともに、シュワン細胞での活性酸素の除去が、ALSの進行を遅延させる治療の可能性として期待されます。運動神経の軸索の維持や再生に重要な役割を果たすことが知られているシュワン細胞が、ALSの病態に積極的に関与することを世界で初めて発見したことになりました。
さらに、この成果は、シュワン細胞を正常化するなどの方法で、ALSの治療法の開発に大きく寄与することが期待されます。この研究成果は、JST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の研究領域「精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療に向けた新技術の創出」における研究課題「孤発性ALSのモデル動物作成を通じた分子標的治療開発」(研究代表者:祖父江元、名古屋大学教授)によって得られ、米国科学アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences』(3月17日号)の掲載に先立ち、2 月27日にオンライン掲載されました。
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2009/090305/index.html
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