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北海道大学
随意行動を準備する脳内神経活動をザリガニで発見 ( 2011/4/15 )
研究成果のポイント
・随意行動開始を数秒前に予告する活動(準備活動)を示す脳内神経細胞をアメリカザリガニで発見。
・単一の準備活動細胞からシナプス活動の記録に世界ではじめて成功。
・準備活動が細胞自身ではなく神経ネットワークから自発的に生じる可能性を示した。

研究成果の概要
動物はどのように自分の「意志」に従って行動を開始するのでしょうか? そもそもヒト以外の動物に「意志」はあるのでしょうか?
神経科学の研究でこの問題解決の鍵と考えられている現象が,それぞれの動物の脳内にある特定部位で起こる準備活動と呼ばれる神経活動です。準備活動は動物が自発的に行動を開始するのに先行して起こります。本研究はアメリカザリガニで準備活動を示す神経細胞を発見し,その活動が逐次的なシナプス興奮と抑制によって生成されることを示しました。さらに,この細胞の活動が,脳内の他の細胞の活動を介して自分自身に回帰する可能性を示しました。このような神経回路は外部からの感覚刺激なしに準備活動を自発的に生じさせるのに適していると考えられます。
本研究は動物の脳内で起こる準備活動の生成機構をはじめて明らかにしたことが評価され,米国の科学雑誌「Science」のオンライン版(http://www.sciencemag.org/content/332/6027/365.abstract)
で2011 年4 月15 日(金)午前3 時(米国東部時間4 月14 日(木)午後2 時)に公表されました。

詳細は下記

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/110415_pr_sci.pdf


ARE-mRNA の安定化による細胞がん化を証明 ( 2011/2/23 )
研究成果のポイント
・AU-rich element(ARE)を持つmRNA が安定化されることにより,細胞ががん化することを証明。
・この細胞がん化機構は以前から知られているものとは異なる新しいメカニズムである。

研究成果の概要
がんは遺伝子の病気であり,遺伝子に何らかの変化(突然変異,増幅,メチル化,ウイルス・細菌などの感染に起因する変化,etc.)が起こり,その変化が蓄積することにより,細胞ががん化するというのが一般的に受け入れられている発がん機構です。我々は,ある特定のmRNA が安定化されることにより,遺伝子に変化が起こらなくても細胞をがん化できることを見出し,従来とは異なる発がん機構を証明しました。
本研究は,北海道大学大学院歯学研究科の東野史裕准教授が中心となり実施され,研究成果は,Oncogene のadvance online publication で2 月14 日(英国時間)に公表されました。

研究成果の概要
(背景)
細胞の増殖に関わる遺伝子のmRNA には,AU-rich element(ARE)(注1)と呼ばれる領域が存在することが多く,ARE はそのmRNA の分解や安定化に関わります。安定化されるときはARE にHuRというRNA 結合タンパクが結合し,ARE-mRNA はHuR と結合しながら核外輸送され安定化されます。これまで調べられたほとんど全てのがんではARE-mRNA が安定化されており,細胞がん化との関連が指摘されていました。しかし,安定化されたARE-mRNA が実際に細胞をがん化する能力があるかどうかは証明されていませんでした。これは,ARE-mRNA を熱ショックなどの刺激により一時的に安定化することはできますが,恒常的にこれを安定化する実験システムがなかったことに起因しています。
我々はアデノウイルスのがん遺伝子産物E4orf6 が発現する細胞では,ARE-mRNA が恒常的に安定化されていることを発見したのをきっかけに( Higashino et al., J. Cell Biol.,2005),E4orf6 とARE-mRNA の両方を細胞に導入することにより,恒常的に安定化されたARE-mRNA が細胞をがん化できるのではないかと考えました。

(研究成果)
E4orf6 とc-fos やc-myc などのARE-mRNA を齧げっ歯し類の正常細胞に導入すると,それらの細胞は形質転換を起こしたコロニーを形成することが明らかになり,また,同様の細胞のHuR をノックダウン(注2)してARE-mRNA の安定化が抑制されると,コロニー形成能が減弱することも見出し,ARE-mRNA の安定化により細胞ががん化し得ることが証明できました。

(今後への期待)
本研究は,がん細胞のARE-mRNA の安定化を阻害することにより,がんを治療する新たな手法が開発できる可能性を示しました。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/110223_pr_den.pdf


同位体フリーラジカル分子を同時に可視化する イメージング技術の開発に成功 ( 2011/1/28 )
研究成果のポイント
・2種類の同位体フリーラジカル分子を同時に画像化する実験に成功
・体の中で薬品の2種類の分子を追跡する薬物動態研究への応用に期待
研究成果の概要
北海道大学大学院情報科学研究科の平田 拓 教授らは,体の中で薬物の動きを画像化することを目指
して,2種類の同位体フリーラジカル分子を同時に画像化する技術を開発しました。
これまで,磁器共鳴技術によって2種類の同位体フリーラジカル分子を画像化するためには,特殊な磁気
共鳴イメージング(MRI)を用いたり,長い計測時間を要する計測法によらなければ困難でした。
本開発チームは今回,1回の撮像時間で2種類のフリーラジカル分子を非侵襲的に画像化し,体の中でそ
れぞれの分子の動きを同時に追跡することを可能にしました。今後,他の分子の目印としてフリーラジカル
分子を用いれば,2種類の標的分子を体の中で同時に3次元画像化することができるようになります。
本研究は,北海道大学大学院情報科学研究科のアンナ パウラック 博士研究員,同研究科 修士課程
伊藤 良平 氏,札幌医科大学の藤井 博匡 教授らが共同で行いました。
本研究成果は,英国王立化学協会の学術誌「Chemical Communications(ケミカル・コミュニケーションズ)」
に受理され,オンライン版で公開されました。
論文発表の概要
研究論文名:Simultaneous molecular imaging based on electron paramagnetic resonance of 14N- and
15N-labelled nitroxyl radicals (14N 及び15N でラベル化されたニトロキシルラジカルの電子常磁性共鳴同時分
子イメージング)
著者:氏名(所属)アンナ パウラック(北海道大学),伊藤 良平(北海道大学),藤井 博匡(札幌医科大
学),平田 拓(北海道大学)
公表雑誌:Chemical Communications(ケミカル・コミュニケーションズ)
公表日:英国時間 2011 年1 月27 日

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/110129_pr_ist.pdf


インフルエンザウイルスが宿主細胞への侵入に利用する 細胞側因子の発見 ( 2011/1/21 )
研究成果のポイント
・インフルエンザウイルスが細胞内に侵入する際のキーになる細胞側因子を発見
・新たなインフルエンザ治療の標的を提供

研究成果の概要
インフルエンザウイルス感染は毎年の季節性流行に加え,数年から数10年単位で発生するパンデミックイヤーには数千万単位の死者を出すこともあります。特に最近では2009年のH1N1パンデミックや高病原性鳥インフルエンザなど有効な対策が最も望まれているウイルス感染症のひとつです。
今回筆者らは,インフルエンザが宿主細胞へ侵入する際に利用する宿主細胞側メカニズムを発見しました。ウイルスの細胞侵入プロセスは既存の抗インフルエンザ治療の標的とは全く異なることから,新たなコンセプトでの治療法開発も期待できます。この研究成果はPLoS One誌に公表されました。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/110121_pr_med_infle.pdf


新型インフルエンザやC 型肝炎ウイルスに対する 新薬開発の為の遺伝子改変マウスの作成に成功 ( 2010/12/17 )
研究成果のポイント
・細胞内でウイルス感染に対する免疫反応の初期過程を解明
・Riplet 遺伝子のノックアウトマウス(ウイルス感染を抑えるインターフェロンが作られなくなる)
の作成に成功
・新型インフルエンザやC 型肝炎ウイルス感染に対する新規治療薬開発の進展に期待

研究成果の概要
北海道大学大学院医学研究科免疫学分野(教授・瀬谷 司)の押海裕之講師らは,感染症やがんの防御因子インターフェロンの誘導に必須の新規分子を同定し,その機能を解明しました。C 型肝炎治療薬にも使用されているインターフェロンは,ウイルスに感染するとヒトの免疫担当細胞によって産生されます。押海講師はノックアウトマウスの手法を用いて,ウイルス感染を検知する仕組みにRipletと名付けた分子が関与し,効果的なインターフェロン産生の誘導に導くことを解明しました。この成果は,今後,新型インフルエンザやC 型肝炎ウイルス等のウイルスに対する新薬の開発に大きく弾みがつくと期待されます。本研究成果は微生物学領域で最も影響力の大きいCell Host & Microbe 誌に,日本時間12月17日(午前2時)に公開されました。

研究成果の概要
新型インフルエンザやC 型肝炎ウイルスのような難治性のウイルス感染や感染が引き金となるがんでは頻繁にインターフェロンの産生が抑えられており,インターフェロンを自然に誘導する方法の開発が待たれています。最近,ウイルスの遺伝子RNA(核酸配列)を検知するセンサー分子が発見されましたが,この分子は普段の細胞に極めて少なく,どのようにインターフェロンを誘導する活性化型に変わるか,判っていませんでした。
私たちはこのRNA センサーを活性化する分子をRiplet(リプレット)と名付けて報告しましたが,このRiplet が実際に生体内でウイルス感染から自己を守る働きをしていることを今回の報告で明らかにしました。私たちはまずRiplet 遺伝子のノックアウトマウスを作成しました。このRiplet ノックアウトマウスでは,H1N1 のA 型インフルエンザ感染やC 型肝炎ウイルスによって本来産生されるはずの強い抗ウイルス作用を持つインターフェロンが全く産生されませんでした。そして無害のウイルス量でも感染死するようになりました。このことからウイルス感染ではリプレット遺伝子の働きが宿主
を守るために非常に重要であることが明らかになりました。
さらに,C 型肝炎ウイルスに感染した細胞では,Riplet 遺伝子の働きが阻害されていました。このことから,今後C 型肝炎ウイルスがどのようにRiplet 遺伝子の働きを阻害するかを解明することで新しい新薬の開発につながると期待されます。また,Riplet 遺伝子と類似した遺伝子のTRIM25(トリム25)遺伝子は,インフルエンザによって働きが阻害されることが知られています。そのため,同様の阻害がRiplet 遺伝子に対しても働いている可能性が有ります。今後の研究から,新型インフルエンザに対する新薬の開発につながることも期待されます。感染初期に関与する分子がインターフェロンの誘導と感染防御に重要な働きをすることが私たちのこの基礎研究を通して明らかになりました。
難治性疾患にはしっかりした基礎研究の基盤に立った新薬の開発が重要な課題です。
本研究は,押海講師の地道な努力による成果です。松本美佐子准教授はじめ免疫学分野の人たちと大阪大学遺伝子情報実験センター遺伝子機能解析分野(岡部教授)の協力に感謝いたします。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/101217_pr_med.pdf


RNA 刺激で樹状細胞に誘導されるNatural Killer 細胞活性化 分子の同定に成功 ( 2010/12/2 )
研究成果のポイント
・ 樹状細胞はNK 細胞と接着してNK 細胞を活性化するがその接着関連分子は不明であった。
・ 本研究は樹状細胞において2 重鎖RNA のインターフェロン誘導経路からNK 活性化経路が分岐してINAM と名付けたNK 活性化分子が細胞上に発現誘導すること,それによって樹状細胞は抗原提示のみならずNK 細胞の活性化も起動することを証明した。
・ 担がんマウスの周囲にINAM 発現樹状細胞を養子免疫すると著明ながんの退縮が見られた。

研究成果の概要
北海道大学医学研究科免疫学分野の瀬谷 司教授の研究室はがん・感染症などから体を守るNK 細胞を誘導する仕組みの1つを明らかにしました。昔から知られていたウイルスなどのRNA 刺激がNK細胞を活性化するという事象に初めて合理的な説明を与える発見です。海老原敬 研究員と東正大 大学院生の研究から,INAM という新規分子がRNA を感知した樹状細胞の表面に発現し,この分子をNK細胞が認識して活性化するという新規の免疫応答が見つかりました。即ちウイルスRNA(2 重鎖)はインターフェロン誘導因子ですが,同時にNK 活性化も誘起します。このような分子は免疫増強剤(アジュバント)ともなり,がん・感染症の制圧のために有望な標的分子になります。本研究成果は,ジェイイーエム「J Exp Med」のオンライン版で2010 年11 月8 日(米国東部時間)に公開されました。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/201202_pr_med.pdf


ウイルス感染防御に重要な新しい分子の発見 ?感染症に対する治療や予防に貢献? ( 2010/11/22 )
研究成果のポイント
インフルエンザなどのウイルス感染から体を守る「しくみ」に関わる新しい分子"ZAPS"を発見し、新しい視点からウイルス感染に対する治療や予防への応用が期待される。

研究成果の概要
北海道大学遺伝子病制御研究所教授岡晃教らの研究グループは、ウイルス感染から体を守る「しくみ」に関わる新しい分子"ZAPS"を独自に発見しました。とくにインフルエンザなどのウイルス感染に対して強力に免疫を活性化する分子であることが明らかとなり、新しい視点からウイルス感染に対する治療や予防への応用が期待されます。本研究成果は,ネイチャーイムノロジー「Nature Immunology」のオンライン速報版で2010 年11 月22 日に公開されました。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/101122_pr_igm.pdf


エボラウイルスが宿主細胞に侵入するメカニズムの解明 ?抗エボラウイルス薬の開発へ道? ( 2010/10/18 )
研究成果のポイント
・ 極めて高い病原性を有するエボラウイルスが細胞に侵入するメカニズムを世界に先駆けて解明
・ 野生型エボラウイルスの形態を模倣した非感染性エボラウイルス様粒子を蛍光標識し、生きた細胞へ侵入する過程をリアルタイムでモニタリングする系を開発
・ 未だ有効な治療法が確立されていないエボラウイルス感染に対する抗ウイルス薬の開発に期待

研究成果の概要
エボラウイルス感染は重篤なエボラ出血熱を惹起し、その致死率は極めて高く90%にも達することがあります。また、アフリカ諸国における度重なるアウトブレイク、またはこのウイルスを利用したバイオテロの可能性から世界的な脅威となっています。しかしながら、現時点においてはエボラウイルス感染に対する有効な予防、治療法は開発されていません。
今回筆者らは、これまで理解されていなかった宿主細胞への侵入メカニズムを世界に先駆けて発見しました。ウイルスの細胞への侵入プロセスはウイルス感染に対する治療法の標的となり得ることから、この研究成果は将来的な抗エボラウイルス薬の開発に役立つものと考えられます。
この研究成果は米国ウィスコンシン大学マディソン校の南保明日香研究員(現在本学大学院薬学研究院講師)が中心となって実施し、PLoS pathogens 誌に公表されました。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/101018_pr_pharm.pdf


老化や年齢に伴う疾患研究に新しい道を開く蛋白質の同定に成功 ( 2010/9/27 )
研究成果のポイント
・一生涯にわたる体の恒常性機構を制御する蛋白質の同定に成功。
・同定した蛋白質は血液凝固活性が年齢とともに上昇する機構に重要であることを明らかとした。
・老化研究に新しい視点を与え,脳卒中や心筋梗塞などの生活習慣病を含めた年齢依存的な疾患の新しい予防,治療法開発が期待される。

研究成果の概要
血液凝固第IX 因子 (FIX) の発現量は年齢とともに増加し,血栓誘発の危険因子の一つとして作用します。この現象は,健康なヒトの体の中で起きており,一生涯の体の恒常性維持機構の一つですが,その詳しい機構については不明でした。今回 筆者らはFIX の年齢依存的に増加する機構に関与するキー蛋白質がhnRNP A3 であることを世界に先駆けて明らかにし,体の一生涯にわたる年齢軸恒常性の遺伝子調節機構の確立にむけて重要な貢献をしました。この調節機構は,年齢依存的に変化する量の特異的制御に理論的基盤を与えるものであり,また年齢依存性疾患に対する優れた予防と治療法,創薬開発等に貢献するものであり,新しい視点からの老化研究に道を開くものです。この蛋白質の同定は,(独)産業技術総合研究所(現在 北海道大学大学院医学研究科 先端光イメージング研究拠点)の浜田俊幸研究員が中心となり実施し, PLoS ONE に公表されます。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/100927_pr_med.pdf


ベーチェット病の発症に遺伝子「IL10」,「IL23R/IL12RB2」 が関与することを世界で初めて発見 ( 2010/7/14 )
研究成果のポイント
・ ベーチェット病の発症に関与する遺伝子の特定に成功
・ ベーチェット病の発症メカニズムの解明および新たな治療薬の開発の進展に期待

研究成果の概要
北海道大学大学院医学研究科の大野重昭特任教授(医学専攻炎症眼科学講座)は,横浜市立大学の水木信久教授らと共同で,難治性炎症性疾患であるベーチェット病の発症に関与する遺伝子の特定に成功しました。
ベーチェット病は口腔内アフタ性潰瘍,眼症状,皮膚症状,外陰部潰瘍の4 つを主症状とする慢性再発性の難治性炎症性疾患で,特に眼症状は重篤であり,失明率が高い難病となっています。
大野特任教授らは,日本人集団を対象としたゲノムワイド相関解析により,「IL10 」と「IL23R/IL12RB2」の2 遺伝子領域の一塩基多型(SNP: Single Nucleotide Polymorphism)*1 がベーチェット病発症と強く関係していることを世界で初めて突き止めました。
今後,発症病態や発病後の経過,治療成績や視力予後との関係を調べていくことで,ベーチェット病の発症メカニズムの解明や新たな治療薬の開発に大きく貢献することが期待されます。
論文発表の概要
研究論文名: Genome-wide association studies identify IL23R/IL12RB2 and IL10 as Behcet’s diseasesusceptibility loci (ゲノムワイド相関解析によるベーチェット病感受性遺伝子領域としてのIL10 およびIL23R/IL12RB2 検索)
著者:氏名(所属) 水木信久(横浜市立大学医学部眼科学),大野重昭(北海道大学大学院医学研究科炎症眼科学)ら(Mizuki N, Meguro A, Ota M, Ohno S, Shiota T, Kawagoe T, Ito N, Kera J,Okada E, Yatsu K, Song Y-W, Lee E-B, Kitaichi N, Namba K, Horie Y, Takeno M, Sugita S,Mochizuki M, Bahram S, Ishigatsubo Y, Inoko H)
※本研究は,厚生労働省難病特定疾患「ベーチェット病研究班補助金」研究費,文部科学省科学研究費,厚生労働省難病特定疾患「ベーチェット病研究班」研究費科学技術振興調整費,独立行政法人科学技術振興機構さきがけ研究などの助成により3 カ国(日本,韓国,フランス)の共同研究として行われました。
公表雑誌: Nature Genetics http://www.nature.com/ng/index.html
公表日:日本時間(現地時間)2010 年7 月12 日午前3 時(英国時間2010 年7 月11 日午後6 時)

研究成果の概要

(背景)
ベーチェット病は口腔内アフタ性潰瘍,眼症状,皮膚症状,外陰部潰瘍の4 つを主症状とする慢性再発性の難治性炎症性疾患です。特に眼症状は重篤で,失明率が高い難病となっています。ベーチェット病は,世界的には地中海沿岸から中近東,東アジアに至る北緯30 度から北緯45 度付近のシルクロード沿いの地域で多く発症する疾患であり,別名シルクロード病とも呼ばれます。日本やトルコはベーチェット病の最多発国であり,特に北海道は日本の中でも最も発症率が高い地域となっています。ベーチェット病の発症メカニズムは明らかになっていませんが,その発症には,遺伝因子と環境因子が関与することが知られています。

(研究手法)
横浜市立大学医学部眼科学の水木信久教授,および北海道大学大学院医学研究科炎症眼科学講座の大野重昭特任教授らの研究グループは,ヒトゲノム全体に分布する約50 万個の一塩基多型(SNP)について,日本人患者集団612 人と日本人非患者集団の740 人を対象にゲノムワイドなケース・コントロール相関解析*2 を実施しました。その後,トルコ人患者集団1,215 人とトルコ人非患者集団1,279人,および韓国人患者集団119 人と韓国人非患者集団140 人をも対象に追認試験を行いました。

(研究成果)
日本人集団を対象としたゲノムワイドなケース・コントロール相関解析により,「IL10」と「IL23R/IL12RB2」の2 遺伝子領域のSNP がベーチェット病発症と強く関係していることを突き止めました。トルコ人集団と韓国人集団を対象とした追認試験の結果,このL10 とL23R/IL12RB2 は人種を超えてベーチェット病発症に深く関わる事が明らかになりました。これら遺伝子領域のわずかな違い(SNP)により,ベーチェット病の発症リスクが約1.4〜1.5 倍に高まることが分かりました。

(今後への期待)
今回の研究成果は,IL10 およびIL23R またはIL12RB2 を介した免疫応答がベーチェット病の発症に深く関与することを示唆する世界で初めての研究成績です。今後,発症病態や発病後の経過,治療成績や視力予後との関係を調べていくことで,ベーチェット病の発症メカニズムの解明や新たな治療薬の開発に大きく貢献することが期待されます。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/100714_pr_med.pdf


正常上皮細胞が変異(前癌)細胞を駆逐する ( 2010/7/14 )
研究成果のポイント
・ 正常上皮細胞が隣接する変異細胞の細胞死を引き起こすことを世界で初めて哺乳類の細胞の系で報告しました。
・ これまでブラックボックスになっていた初期癌発生で起こる現象の解明につながる発見です。
・ 周囲の正常細胞に癌細胞を攻撃させるというこれまでになかった新規の癌予防や癌治療につながる可能性を秘めています。

研究成果の概要
哺乳類において,正常上皮細胞が隣接する変異細胞(前癌細胞)の細胞死を誘発する能力を有していることをUniversity College London ロンドン大学(現在 北海道大学遺伝子病制御研究所)の藤田恭之教授のグループが世界で初めて明らかにしました。
今回発表した論文では,新しく発見した癌化を抑制する遺伝子Mahjong(マージャン)が欠失した変異細胞を用いて,変異細胞が正常上皮細胞に囲まれた時に細胞死を起こし上皮層から除去されることを見出しました。これは,これまでブラックボックスになっていた初期癌発生で起こる現象の解明につながる発見です。
この研究をさらに発展させることにより,周囲の正常細胞に癌細胞を攻撃させるというこれまでになかった新規の癌予防や癌治療につながる可能性を秘めています。

論文発表の概要
研究論文名: Involvement of Lgl and Mahjong/VprBP in Cell Competition
(Lgl とMahjong/VprBP の細胞競争への関与)
著者:氏名(所属) Tamori, Y., Bialucha, C. U. Tian, A-G. Kajita, M., Huang, Y-C., Norman,M., Karmakharm, A., Ivanovitch, K., Disch, L., Liu, T., Deng, W-M., and Fujita, Y.
※2,4,6,7,8,9,10,12 番目の著者がUniversity College London, 他はフロリダ州立大学所属。
公表雑誌:PLoS Biology (プロス バイオロジー)(impact factor 約14。国際的一流誌。)
公表日:日本時間2010 年7 月14 日午前6 時(米国東部時間2010 年7 月13 日午後5 時)

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/100714_pr_igm.pdf


「遺伝子診断を基にした肺癌の個別化分子標的治療を確立」(医学系研究科:貴和教授) ( 2010/6/24 )
東北大学大学院医学系研究科呼吸器病態学分野の貫和敏博教授らの研究グループは、進行した非小細胞肺癌の一部で認められるEGFR 遺伝子活性型変異を治療前に同定することで、分子標的薬 gefitinib(イレッサ、アストラゼネカ社)を用いた新たな治療法が、従来の抗癌剤を用いた化学療法を大きく上回る治療効果をもたらすことを証明しました。この成果は学術誌「The New England Journal of Medicine」(6月24日号;日本時間6月25日発行)に掲載されます。

http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/100624prn.pdf
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2010/06/press20100624-01.html


遺伝子診断を基にした肺癌の個別化分子標的治療を確立 ( 2010/6/24 )
研究成果のポイント
? 我が国の癌死因トップである肺癌の約 80%を占める非小細胞癌のうち,EGFR 遺伝子変異を有する肺癌患者さんに,分子標的治療薬ゲフィチニブ(イレッサR)は従来の抗癌剤治療と比較して極めて有用であることを臨床研究によって証明。
? ゲフィチニブ(イレッサR)による治療では,再増悪までの期間が従来の抗癌剤治療より2倍と長く,また患者さんの生活の質が優れていることが判明。
? EGFR 遺伝子変異の結果に基づいてゲフィチニブ(イレッサR)を初回から用いる個別化治療が,進行した非小細胞肺癌の新たな標準療法として確立したと言える。

研究成果の概要
進行した非小細胞肺癌注1 の一部で認められるEGFR 遺伝子活性型変異注2 を治療前に同定することで,分子標的治療薬ゲフィチニブ注3(イレッサR,アストラゼネカ社)を用いた治療法が,従来の抗癌剤を用いた化学療法を大きく上回る治療効果をもたらすことを証明しました。
よって本研究により,EGFR 遺伝子変異の結果に基づきイレッサを初回から用いる個別化治療の有用性を確立しました。
論文発表の概要
研究論文名:Gefitinib or Chemotherapy for Non-Small Cell Lung Cancer with Mutated EGFR
(EGFR 遺伝子活性型変異のある非小細胞肺癌へのゲフィチニブと化学療法)
著者: M Maemondo, A Inoue, K Kobayashi, S Sugawara, S Oizumi, H Isobe, A Gemma, M Harada,
H Yoshizawa, I Kinoshita, Y Fujita, S Okinaga, H Hirano, K Yoshimori, T Harada, H Miyazawa,
T Tanaka, Y Saijo, T Ogura, M Ando, S Morita, K Hagiwara, and T Nukiwa. North-East Japan Study
Group
公表雑誌:New England Journal of Medicine http://content.nejm.org/
公表日:日本時間 2010 年6 月24 日

研究成果の概要
(背景)
我が国における癌死因のトップである肺癌において,約80%は非小細胞肺癌に分類されます。手術が出来ない状態まで進行した患者さんでは,従来の抗癌剤を用いても平均で約1 年程度の生存期間しか得られませんでした。近年登場したEGFR 阻害薬注3 と呼ばれる新たな肺癌治療薬ゲフィチニブ(イレッサR)が,EGFR 遺伝子変異を有する非小細胞肺癌に対して特に有効との先行研究が報告されていましたが,きちんと従来の化学療法と比較した臨床研究は今までありませんでした。
(研究手法)
北東日本研究機構(North-East Japan Study Group (NEJSG))は,本遺伝子変異の有無を同グループが開発した高感度法注4 で事前に同定し,変異があった患者さん230 例を対象として,ゲフィチニブを初回から用いる治療と従来どおりの化学療法とを比較する大規模な臨床試験を行いました。
なお本研究は,東京がん化学療法研究会(The Tokyo Cooperative Oncology Group (TCOG))によってサポートを受け,東北大学,宮城県立がんセンター,埼玉医科大学,北海道大学,ほか全国約50施設との共同研究によって進められました。
(研究成果)
ゲフィチニブ(イレッサR)を初回から用いた群では,肺癌が増悪するまでの期間が化学療法群の2倍にまで延長し(図1),患者さんの生活の質(quality of life)も明らかに優れていることが判明しました。副作用については,ゲフィチニブ群で間質性肺炎のため1 名(1%)が亡くなられましたが,総じて重い副作用の頻度は化学療法群よりゲフィチニブ群で低いことが示されました。ゲフィチニブ群の患者さんの生存期間は平均2 年半以上にも及び従来の治療成績(約1 年)を大きく上回るものでした。一方,化学療法を最初に用いた群でも,次の治療としてゲフィチニブを用いることで,やはり平均2 年近い生存期間が得られました。
(今後への期待)
EGFR 遺伝子変異の結果に基づいてゲフィチニブ(イレッサR)を初回から用いる個別化治療が,進行非小細胞肺癌の新たな標準療法として確立したといえます。特に日本では女性の肺癌患者さんの約3 分の2 に相当する方が本遺伝子変異を有していると考えられており,今後は本研究の成果が非小細胞肺癌の実地医療に応用されることが期待されます。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/100624_pr_med.pdf


染色体の安定な維持に必要な「新規タンパク質POGZ」を発見 ― 新規抗がん剤の開発へ道 ― ( 2010/6/21 )
研究成果のポイント
・ 定量的プロテオミクス解析により,染色体の安定な維持に必要な新規タンパク質POGZ を発見
・ POGZ は,がん発症に深く関与するリン酸化酵素オーロラB の働きを制御することを解明
・ がんの発症や重篤化の機構の解明や新規抗がん剤の開発に役立つ可能性
研究成果の概要
ヘテロクロマチン蛋白質HP1に結合する蛋白質の定量的プロテオミクス解析注により,染色体の安
定な維持に必要な新規タンパク質POGZ を発見しました。さらに,POGZ とHP1との結合を阻害すると,
リン酸化酵素オーロラB が働かなくなり,細胞分裂の際に染色体を2つの娘細胞に正確に受け渡すた
めのさまざまなステップに異常が生じることがわかりました。
がん発症や重篤化に深く関与するとされるオーロラB を阻害する化合物を用いた抗がん剤の開発が
進んできましたが,オーロラB によく似た他の酵素も阻害してしまうという問題がありました。今回
発見した新規タンパク質POGZ は,オーロラB にのみ作用する,より特異性の高い新たな抗がん剤の
開発に役立つと考えられます。
この成果は,英国の科学誌『ネイチャー・セル・バイオロジー』電子版(2010 年6 月20 日付オン
ライン先行出版AOP(Advance Online Publication)に発表されました。
論文発表の概要
研究論文名:Human POGZ modulates HP1 dissociation from mitotic chromosome arms
through Aurora B activation(ヒトHP1結合タンパク質POGZは分裂前期のリン酸化酵素オーロラ
Bの染色体腕部での活性化に寄与する)
著者:野澤竜介 1,長尾恒治1,桝田浩孝1,岩崎治1,広田亨2,野崎直仁3,木村宏4,小布施力史1
(1 北海道大学大学院先端生命科学研究院,2 癌研究所,3 神奈川歯科大学,4 大阪大学大学院生命機能研
究科)
公表雑誌:Nature Cell Biology http://www.nature.com/ncb/index.html
公表日:日本2010 年6 月21 日午前2 時(英国時間2010 年6 月20 日午後6 時

研究成果の概要

(背景)
我々の遺伝情報を担う染色体は,正確にコピーされ,細胞が分裂する時に2つの娘細胞に均等に受け継がれます。リン酸化酵素オーロラB は,細胞が分裂する時に染色体を2つの娘細胞に正確に受け渡すためのさまざまなステップで働いています。また,オーロラB はさまざまながん組織で過剰発現や機能亢進していることが知られており,その阻害剤の開発が進んできました。

(研究手法,結果)
我々はオーロラB の働く仕組みを解明するために,オーロラB と結合するヘテロクロマチン蛋白質HP1 というタンパク質に着目しました。このHP1 に結合しているタンパク質の中にオーロラB の働きを制御するタンパク質が含まれているのではないかと考えて,定量的プロテオミクス解析により82種類のHP1 結合タンパク質を同定しました。その中から,HP1 と特徴的な結合をするタンパク質としてPOGZ を発見しました。さらに,機能阻害やイメージングの技術を駆使して,POGZ タンパク質のオーロラB リン酸化酵素に対する働きを調べました。その結果,POGZ とHP1 との結合を阻害すると,オーロラB がリン酸化酵素として働かなくなり,細胞分裂の際に染色体を2つの娘細胞に正確に受け渡すためのさまざまなステップに異常が生じることがわかりました。

(研究成果)
がんの発症に深く関与するオーロラB の働きを制御するPOGZ というタンパク質を発見しました。
POGZ が働かなくなるとオーロラB がリン酸化酵素として機能することができずに,細胞は異常な分裂を起こして死んでしまいます。オーロラB リン酸化酵素はHP1 を介して染色体に結合していますが,POGZ がオーロラB リン酸化酵素の居場所を奪い取ることが,オーロラB がリン酸化酵素として働く引き金になることがわかりました。
(今後への期待)
多くのがん細胞では,染色体の数が正常細胞と異なることが知られていますが,その機構は不明でした。今回の発見は,POGZ がオーロラB リン酸化酵素の働きを制御することが、正確な染色体の継承に必要であることを示すもので,がんの発症や重篤化の解明につながると考えられます。
また,多くのオーロラB リン酸化酵素の働きを阻害する化合物を用いた抗がん剤の開発が進んできましたが,よく似た他のリン酸化酵素も阻害してしまうという問題がありました。POGZ はオーロラBの上流でその働きを制御しているため,オーロラB にのみ作用する,より特異性の高い新たな抗がん剤の開発に役立つ可能性が考えられます。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/100621_pr_lfsci.pdf


研究室取材 薬理学研究室 ( 2010/5/19 )
薬系進学2011で取材。

http://yakkei.jp/contents/links/hokkaido-y.pdf


Y 染色体がなくても大丈夫!? ?トゲネズミを用いたY 染色体消失過程の解明に成功? ( 2010/5/12 )
研究成果のポイント
・ Y 染色体をもたないトゲネズミにおいて,Y 染色体がどのように消失したのかを解明
・ トゲネズミにはオスを決める性決定遺伝子だけでなく,精子をつくるための遺伝子もなくなっていることが判明
・ 本研究の成果は,将来Y 染色体が退化して男性がいなくなるという説に異論を唱えるものであり,Y 染色体の進化研究に大きく貢献

研究成果の概要

哺乳類は細胞中にY 染色体をもっていないとオスにはなれません。しかし,アマミトゲネズミという動物はY 染色体がなくてもオスがうまれてきます。この研究では,Y 染色体がどのようにしてなくなったのか,また,もともとY 染色体上にあった遺伝子はどうなったのかを調べました。
その結果,トゲネズミではY 染色体がなくなるまでに3つのステップがあったこと,また,オスを決める性決定遺伝子だけでなく,精子を作るための遺伝子もなくなっていることがわかりました。
この成果から,Y 染色体がなくなってもオスが維持される新しい進化メカニズムが予想されました。

論文発表の概要

研究論文名:The process of a Y-loss event in an XO/XO mammal, the Ryukyu spiny rat.
(XO 型トゲネズミにおけるY 染色体消失過程の解明)
著者:黒岩麻里, 石口泰子 (北海道大学大学院理学研究院), 山田文雄 (森林総合研究所), 阿部愼太
郎 (環境省), 松田洋一 (名古屋大学大学院生命農学研究科)
公表雑誌:Chromosoma オンライン先行出版
http://www.springerlink.com/content/7441r3r04q7p4051/fulltext.html
公表日:米国東部時間2010 年5 月5 日

研究成果の概要

(背景)
ヒトを含め,哺乳類はY 染色体をもつと男性 (オス) になります。Y 染色体は哺乳類の進化とともにどんどん短くなって,Y 染色体上の遺伝子も減ってきています。このまま退化が進めば,1,400 万年後にはY 染色体がなくなり,男性がいなくなって人類は絶滅するという説もあります。
ところが,南西諸島に生息するアマミトゲネズミ (Tokudaia osimensis) は,すでにY 染色体をなくしていますが,きちんとオスがうまれます。この研究ではトゲネズミでどのようにY 染色体がなくなったのか,もともとY 染色体にあったオスに大事な遺伝子はどうなったのかを調べました。

(研究手法)
哺乳類のY 染色体に存在する3つの遺伝子について,トゲネズミのゲノム中に生き残っているのか,もし生き残っているとしたらどの染色体上に移動しているのかを,遺伝子クロ?ニング,遺伝子マッピング技術を使って調べました。

(研究成果)
3つの遺伝子のうち,精子を作るために大事だといわれている遺伝子が,トゲネズミではなくなっていました。他の2つの遺伝子は,X 染色体に移動することで生き残っていることがわかりました。
ところが,この遺伝子は本来哺乳類ではオスしかもっていないのですが,トゲネズミではメスももっていて,遺伝子発現をしていることがわかりました。また,Y 染色体は少なくとも3つのステップをふんで消失したことがわかりました。

(今後への期待)
Y 染色体がなくなり,さらにオスに重要な遺伝子がなくなっていても,トゲネズミではオスがうまれ精子が作られます。このことから,Y 染色体がなくなっても新たなオスのための遺伝子が獲得され,オスが維持されることがわかります。つまり,Y 染色体消失は男性消失には直接的につながらないことが考えられます。本研究から得られた成果は,Y 染色体の進化について新しい知見を与えるものです。今後は,新しく獲得された遺伝子を発見,解析することが大きな課題となります。

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/100512_pr_sci.pdf


自然発症高眼圧緑内障モデルマウスの開発に 世界ではじめて成功 ( 2010/2/9 )
研究成果のポイント
・ シグナル分子Vavs の遺伝子欠損マウスはヒト緑内障病変を発症することを発見
・ マウスは著しい高眼圧症を生じ,その後網膜の視神経節細胞病変(緑内障病変)へ移行
・ 緑内障患者の一塩基多型性解析にて,Vavs 遺伝子の変異を高率に認めた
・ 分子レベルでの病態解明が進んでいないヒト緑内障研究の進展にこのモデルマウスは大きく貢献
・ 緑内障発症メカニズムの研究が進展し,早期発見・早期治療法確立に貢献
・ 現在緑内障治療の中心である,眼圧降下薬の研究開発に大きく貢献
研究成果の概要
Vavs 分子欠損マウスを用いることにより,ヒト緑内障モデルマウスの開発に成功しました。ヒト生体にて,細胞分化・増殖・接着・骨格等の重要な機能を制御する分子RhoGTPases を活性化するシグナル分子Vavs を欠損させたマウスは,ヒト緑内障と一致する病態を示します。即ち,Vavs 欠損マウスは,顕著な眼圧の上昇,眼房水流出経路である隅角の閉塞と網膜視神経節細胞の消失を伴い,世界で初めての高眼圧緑内障モデルマウスです。また,緑内障患者の一塩基多型性解析にても高率なVavs分子の変異を認めました。このモデルマウスは,ヒト緑内症発症機序の解明と共に,眼圧上昇メカニズムの研究にきわめて有用です。このマウスの開発は緑内障の早期発見と治療薬の研究開発に,今後日本のみならず,世界的レベルで大きく貢献することが確信されます。
論文発表の概要
研究論文名:Vav2 and Vav3 as Candidate Disease Genes for Spontaneous Glaucoma in Mice and Humans

http://www.hokudai.ac.jp/bureau/topics/press_release/100209_pr_hs.pdf


北海道大学との共同研究施設 「シオノギ創薬イノベーションセンター」の開設について ( 2008/5/30 )
 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は、北海道大学(総長:佐伯 浩)との共同研究施設として「シオノギ創薬イノベーションセンター」を5月30日、開設いたしましたのでお知らせします。

 この共同研究施設は、平成18年10月、北海道大学内へ当社所有の研究施設を建設し、その共同使用に関して基本合意書を締結したもので、産学連携の理念に則った両者の研究交流の促進を目的としています。

 当社は、現在、第二次中期経営計画(2005年度〜2009年度)において、製薬企業として長期的な発展を遂げるための取り組みを積極的に進める「飛躍への胎動」の期間としております。

 研究開発領域におきましては、本格的な海外展開に向けた基盤整備を着実に進めることを目指しており、国際競争力を持った開発品の継続的な創出と組織体制の整備、人材の育成などに注力しております。

 「シオノギ創薬イノベーションセンター」の開設により、共同研究への積極的な取り組みを通じて、北海道大学の持つ糖鎖基盤技術やタンパク質構造解析技術などの創薬基盤技術の改良が促進され、さらなる創薬シーズの発見が期待できるとともに、グローバルに通用する創薬基盤技術を強化し、研究・開発の効率化および成功確率の向上をすすめてまいります。



北海道大学に寄附分野「神経病理・病態生化学(IBL)分野」開設 ( 2007/3/12 )
 北海道大学大学院薬学研究院、(株)免疫生物研究所および清藤勉は、本年4月から寄附分野「神経病理・病態生化学(IBL)分野」を開設することをお知らせする。
 本寄附分野においては、アルツハイマー病の発症に関わる仕組みと考えられているアミロイドβタンパク(Aβ)の産生機構の解明に取り組み、新たな創薬ターゲットの開発を目指す。特に病原性の強いAβ42の生成に関わるγ−セクレターゼ複合体の酵素学的特性を解明するとともに、Aβ42生成抑制剤の開発に取り組む。同時に、γ−セクレターゼ複合体によって切断された代謝産物を利用したアルツハイマー病の診断法の開発も計画している。



レトロネクチンを用いた遺伝子治療の臨床効果を学会で発表 ( 2006/5/30 )
 タカラバイオバイオ研究所の共同研究先である北海道大学医学部小児科有賀正教授らは、アデノシンデアミナーゼ欠損症(ADA−SCID)の小児患者2例に対して実施したレトロネクチン(R)を用いた遺伝子治療の臨床効果について5月31日から米国メリーランド州ボルチモアで開催される米国遺伝子治療学会(American Society of Gene Therapy)で発表。
 この遺伝子治療においては、それぞれの患者さんより採取した造血幹細胞を多く含む骨髄細胞に、レトロウイルスベクターを用いて正常なADA遺伝子を導入した後、これらの遺伝子導入細胞を患者さんの体内に戻した。この遺伝子導入法には、高効率遺伝子導入法として世界的にスタンダードとなりつつあるタカラバイオのレトロネクチン法が使用されている。2人の患者さんは、2年以上前にこの治療を受けており、その後の経過が順調であり、今のところ重篤な副作用の出現はない。
 また、レトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療では、治療用遺伝子が遺伝子導入した細胞のゲノム上にランダムに挿入され、その挿入部位によっては近傍の遺伝子を活性化する可能性がある。北海道大学で遺伝子治療を受けた患者さんのフォローアップのため、LAM−PCR法によるADA遺伝子の挿入位置の解析を当社と共同で行ったところ、問題となる挿入変異は起こっていないという結果が得られた。



包括連携に関する協定を締結 ( 2006/1/26 )
 帝人と北海道大学は、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーとの融合領域における研究に関して、両機関の連携によって相互に有する資源を活かしながら、より効率的で効果的な協力関係を構築することを合意。連携プログラムに関する協定を締結した。
 帝人グループにとっては初めての包括的産学連携であり、北海道大学にとっては総合化学メーカーと初めての包括連携となる。



細胞ゲノムに挿入された治療用遺伝子の位置解析を実施 ( 2005/5/11 )
 タカラバイオのバイオ研究所は、レトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療において造血幹細胞への治療用遺伝子のゲノム挿入位置を解析する手法として用いられている従来型LAM−PCR法を改良したタカラLAM−PCR法を用いて、厚生労働省が認可した北海道大学医学部小児科 有賀正教授らのアデノシンデアミナーゼ欠損症を対象としたADA−SCID遺伝子治療臨床研究と筑波大学付属病院遺伝子細胞治療グループリーダー 長澤俊郎教授らによる再発白血病を対象としたHSV−TK遺伝子治療臨床研究において、治療用遺伝子の挿入位置の解析を共同で行うこととなった。また、北海道大学のADA−SCID遺伝子治療における解析結果は、6月1日から米国セントルイスで開催される米国遺伝子治療学会(ASGT)で発表することも予定している。



北海道大学に寄附研究部門「マトリックスメディスン」を開設 ( 2004/3/15 )
 北海道大学遺伝子病制御研究所と藤沢薬品工業、免疫生物研究所、ジーンテクノサイエンスは、遺伝子病制御研究所に2004年4月1日付けで寄附研究部門「マトリックスメディスン」を開設する。
 遺伝子病制御研究所では、病因研究部門分子免疫分野で得られた「抗体医薬によるリウマチ等の難病の新規治療法に関わる研究成果」を発展するため、2004年4月1日から2009年3月31日までの5年間にわたり遺伝子病制御研究所内に寄附研究部門「マトリックスメディスン」の開設を決定した。本寄附研究部門は3社の総額約1億6千万円にのぼる寄附によって運営され、藤沢薬品が約8割を負担し、残りを免疫生物研究所ならびにジーンテクノサイエンスが負担する。
 細胞外マトリックスは、受容体を介して種々の細胞の機能を制御しており、この破綻が種々の難病性炎症疾患の病態に深く関与していることが明らかになりつつある。ヒトゲノムの解読以降、蛋白機能の解明に向けて激しい国際競争が繰り広げられており、なかでも、蛋白プロセシングとこれによる蛋白機能の変換は、ポストゲノム時代において重要な研究領域を形成している。寄附研究部門「マトリックスメディスン」では、細胞外マトリックスのプロセシングにより、初めて露出した細胞結合部位および、その受容体の結合を人為的に制御する方法を開発して、関節リウマチなど様々な難治性炎症疾患の新規治療法の確立を目指す。



北海道大学と次世代ポストゲノム創薬の共同研究 ( 2003/10/22 )
 塩野義製薬と、北海道大学大学院理学研究科西村紳一郎教授は、西村教授が開発した糖鎖工学技術を基に次世代ポストゲノム創薬の共同研究をはじめとする包括的な契約を締結した。
 契約の主な内容は、西村教授の糖鎖を特定アミノ酸に結合させる自動合成技術他の複数特許を利用し、次世代バイオ医薬品の創薬研究を共同で行うもの。  糖鎖の生理機能の解明と同時に、これまで合成が困難な糖鎖を西村教授らが世界で初めて開発に成功した糖鎖自動合成装置により、複雑な生体内機能分子(糖鎖、糖タンパク質、糖脂質)を研究材料として手に入れる。糖鎖を短時間 に自動で合成することで、多くの機能性糖タンパク質医薬の創製にも重要な働きをすると期待している。



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